国会図書館で、絶版書と時代の空気を読む

十数年ぶりに国会図書館へ行き、利用者登録を済ませました。
かつては閲覧室でひたすら紙の資料を探していた記憶がありますが、現在では「国会図書館デジタルコレクション」を通じて、絶版書をネット上で数多く閲覧できるようになっていて驚きました。以前は「近デジ」という愛称で知られる(?)「近代デジタルライブラリー」という名前で、明治大正期の資料がメインだった気がします。

すべての資料が閲覧できるわけではありませんが、デジタル化が進み、一定の条件を満たせば自宅のパソコン(もちろんiPadからでも)からも読める本が増えています。以前は、話題になった竹中労の『タレント帝国』も、復刻版が出る前までは閲覧可能だったみたいです。

検索機能も充実しており、書誌情報だけでなく、本文のキーワード検索もできるようになっています。
最近は「とんねるず」について調べているのですが、検索窓に「とんねるず」と入力すると、「トンネルずくり」といった建築系の雑誌も出てきたりして、ちょっと笑ってしまいますが、関連の古い雑誌記事や言及のある単行本にもアクセスでき、手軽に調査することが可能になりました。

私自身、1980年代の記憶があまりなく、その時代がどういう価値観を持ち、どんな空気が流れていたのかはなかなか掴みづらいものです。さらに、漫画や音楽、映画などは作品単体で追っても、それが生まれた時代(同時代)の文脈やニュアンスまでは一朝一夕には掴めません。
そういう意味で、「国デジ」に掲載されている当時の雑誌や絶版書籍を手がかりに、空気そのものに触れることができるのは大きな魅力です。

古本屋を営んでいる立場から見ると、市場価値がなく買い手がつかないような本でも、こうして丁寧にデータベース化され、残されているというのは、まさに「図書館の仕事」だと感じます。
「すべての図書がオンラインで閲覧できるように」とまでは言いませんが、もう少し多くの資料が自由に読めるようになれば嬉しいと思っています。

……正直なところ、そうなったら古本屋としての商売はさらに厳しくなるんですけどね(笑)。

Image 2025年6月15日 16_10_39


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