DATテープの歴史・技術的背景と用途の変遷と買取相場
DATテープとは?
DAT(Digital Audio Tape、デジタル・オーディオ・テープ)とは、音声信号をアナログからデジタルに変換して磁気テープに記録・再生する方式のことです。
1980年代後半に登場したデジタル録音用のテープフォーマットの一種で、当時としては画期的な高音質を実現しました。
従来のアナログカセットテープ(コンパクトカセット)に比べてノイズが極めて少なく、録音・再生時の音の劣化もほとんどありません。
デジタル方式のためコピーを繰り返しても音質が劣化しない点が特徴で、音楽マニアやプロの現場で注目されました。サイズはコンパクトカセットより小型で、手のひらに収まるカートリッジに収められています。
DATテープは録音・再生に専用のDATレコーダーを使用します。テープと録音機材を総称して「DAT」と呼ぶこともありますが、一般にはこのDAT規格そのものを指すことが多いです。音声をデジタル化して保存できることから、当時は「次世代の録音メディア」として期待されました。一方で、後述するように著作権保護の問題や他のデジタルメディアの台頭もあり、一般家庭への普及は限定的でした。それでも、高音質志向のユーザーやプロフェッショナルには根強い人気があり、一部では音響マニア向けの隠れた名品として語り継がれています。
DATテープの歴史と技術的特徴
開発の背景(1980年代のデジタル録音技術の進化)
DATは1980年代のデジタル録音技術の進歩の中で誕生しました。音楽CDが登場しデジタル音源が普及し始めた時代、家庭でもデジタル録音を可能にすることを目指して開発が進められたのです。1983年には主要メーカーが集まり「DAT懇談会」が記録方式を制定、そして1987年に民生用機器としてDATが商品化されました。
テープメディアでデジタル録音を実現するために、ビデオデッキのような回転ヘッド技術や誤り訂正技術が採用されています。当初、音楽業界ではデジタルコピーによる著作権侵害を懸念する声があり、DAT機器にはSCMS(シリアル・コピー・マネジメント・システム)というコピーガード技術が搭載されました。これによりデジタルコピーは一世代のみ可能となり、機器やテープの価格に私的録音補償金が上乗せされる制度も導入されました。こうした背景から、DATはプロ用途を中心に普及しつつも一般向けにはハードルの高い製品として位置付けられることになります。
主要メーカー(ソニー、パナソニックなど)
DAT規格の開発・普及には日本の大手AV機器メーカーが深く関わっています。特にソニーはDATデッキやポータブルDATウォークマンを精力的に展開し、この分野をリードしました。ソニー初の民生用DATデッキ「DTC-1000ES」(1987年発売)はDATの名機として知られ、以降も高級オーディオ路線でDTCシリーズを投入しています。また、ソニーは世界初の携帯型DATレコーダー「TCD-D3」(1988年)も発売し、録音マニアを唸らせました。パナソニック(松下電器)もDATデッキを製造しており、業務用モデル「SV-3700」などで高い評価を受けています。他にもティアック(TASCAMブランド)やアイワ、パイオニアなど複数のメーカーがDAT機器市場に参入しました。例えばティアックは業務用のポータブルDATや24ビット録音対応機種を開発し、パイオニアは96kHz録音対応の民生機(D-HS5など)を発売するなど、各社が独自の技術を盛り込み競い合いました。主要メーカーの参入により、DATは一時期オーディオファンの間で一つのブームを形成しました。もっとも、価格が高価だったことや取り扱いの難しさもあり、「知る人ぞ知る高級録音機」という位置付けに留まった側面もあります。
記録方式(リニアPCM方式、テープの種類)
DATテープの技術的特徴として特筆すべきは、その記録方式とテープの構造です。音声はリニアPCM方式(非圧縮)でデジタル変換され、ビデオテープと同様のヘリカルスキャン(回転ヘッド走査)方式でテープに記録されます。この方式により、アナログカセットでは不可能だった高密度デジタル記録が実現しました。テープ幅は3.8mmと細く、カートリッジの寸法は約73×54×10.5mmとコンパクトです。テープは片面のみ使用し、途中で裏返す必要はありません。録音モードには標準モード(SP)と長時間モード(LP)があり、SPモードではテープの規定時間いっぱい高音質録音ができ、LPモードでは音質を一部落とす代わりに録音時間を2倍に延ばすことが可能です。具体的には、標準モードでは48kHzまたは44.1kHz、16ビットのステレオ録音で、120分テープなら最大120分間録音できます。一方、LPモードでは32kHz、12ビットの録音となり音質は若干劣化しますが、同じテープで240分(4時間)もの録音が可能になります。録音時間と音質はトレードオフの関係ですが、重要なコンサートの全編をテープ1本で収めるといった用途ではLPモードも重宝されました。なお、一部の業務用/ハイエンドDAT機には独自拡張として96kHz/16ビット録音(パイオニアのWIDEモード)や48kHz/24ビット録音(ティアックのHRモード)に対応したものも存在しました。これらは特別な用途向けで一般的な規格ではありませんが、当時としては他に類を見ない高性能録音でした。
DATテープの主な規格一覧:(標準テープ=120分テープ使用時)
モード | 標本化周波数(サンプリングレート) | 量子化ビット数 | チャンネル数 | 120分テープの録音時間 |
---|---|---|---|---|
標準モード (SP) | 48 kHz | 16 bit リニア | 2 ch ステレオ | 120分 |
標準モード (SP) | 44.1 kHz | 16 bit リニア | 2 ch ステレオ | 120分 |
標準モード (SP) | 32 kHz | 16 bit リニア | 2 ch ステレオ | 120分 |
長時間モード (LP) | 32 kHz | 12 bit ノンリニア | 2 ch ステレオ | 240分 |
※一般的なDAT機器では上記の標準モードおよびLPモードに対応。32kHz 16bit(オプション1モード)は放送用音声の長時間録音向けに使われることもありました。また96kHz/16bitや24bit録音対応は一部機種の独自機能です。
DATと他のフォーマットの比較(CD、MD、アナログカセットとの違い)
DATが登場した当時、既に音楽CD(デジタルディスク)やアナログカセットテープといったメディアが存在していました。それらとの主な違いを見てみましょう。まずCD(音楽CD)との比較では、音質面ではDATもCDも共に44.1kHz/16bitのデジタル音源を扱えるため理論上は同等です。しかしDATは可搬型の録音メディアであり、自分で録音できる点がCDとは大きく異なりました。当時の家庭用CD機器は再生専用で、CDに録音(焼く)ことはできませんでしたので、「CD並みの音質で録音できる」DATの価値は高かったのです。またDATは48kHz録音に対応しており、これはCDの44.1kHzをわずかに上回るサンプリング周波数であることから、「CD以上の音質」とうたわれることもありました。実際、DATは周波数特性やダイナミックレンジの面でアナログ機器を凌駕し、スタジオのマスターテープとしても使用可能なクオリティでした。
一方、1990年代に登場したMD(ミニディスク)との比較では、音質と利便性のトレードオフが見られます。MDはソニーが1992年に発売した光磁気ディスク型のデジタル録音メディアで、デジタル録音が可能でしたがATRACという圧縮技術を使って音声データを約1/5に圧縮していました。そのため、音質面では非圧縮のDATに軍配が上がります。一方でMDはランダムアクセス再生や曲名表示・編集機能などユーザーフレンドリーな面があり、ディスク媒体ゆえ取り扱いも簡単でした。結果として一般ユーザーにはMDの方が普及しましたが、音質重視のマニア層やプロ用途では圧縮無しのDATが選好される傾向がありました。
アナログカセットテープ(コンパクトカセット)との違いは顕著です。カセットテープは1960年代から普及した磁気テープで、録音時間や機器の手軽さで音楽録音の主役でした。しかしアナログ方式ゆえにヒスノイズ(テープのサーッという雑音)や世代コピー時の音質劣化が避けられません。これに対しDATはデジタル記録のためノイズが非常に少なく、コピーを重ねてもオリジナルとほぼ同じクオリティを保てました。また周波数帯域やダイナミックレンジ(音の強弱表現幅)もDATの方が格段に優れています。テープサイズもDATの方が小型でポータブル性が高いです。ただしDAT機器は精密で高価であり、テープの走行も高速(8.15mm/秒)でヘリカルスキャン機構を用いるため、コンパクトカセットに比べると構造が複雑です。そのため、メンテナンス性や耐久性の面ではアナログカセットのほうが扱いやすいケースもありました。総じて、DATは「高音質と高性能を追求したデジタルテープ」であり、カセットテープは「手軽さと汎用性に優れたアナログメディア」と位置付けられます。ユーザーは予算や用途に応じてそれらを使い分けていたのです。
この写真は、ポータブルDATレコーダー(上:ソニー製DATウォークマン、1996年製)、MDウォークマン(中央、1997年製)、カセットテーププレーヤー(下、1999年製)と、それぞれの記録メディア(左列:DATテープ、MDディスク、アナログカセット)を並べて比較したものです。DATテープ(左上の黒いカートリッジ)は従来のカセットテープ(左下の透明ケース)より小型でありながらデジタル録音に対応し、当時としては画期的な存在でした。一方、MD(左中央の光ディスク)はさらにコンパクトで近未来的なメディアでしたが、前述のとおりATRAC圧縮による音質差があります。このように90年代後半には複数の録音メディアが併存し、それぞれの特徴からユーザーが使い分けをしていたことが分かります。
DATテープの音質と特徴
DATの高音質(サンプリングレート、ビット深度)
DATテープ最大の魅力は何と言ってもその高音質です。標準モードにおける録音スペックはサンプリング周波数48kHz・量子化16bitのステレオPCMデータで、これはCDの44.1kHz・16bitを上回る品質です。周波数帯域は20Hz~22kHz程度までカバーし、理論上ダイナミックレンジも96dB程度(16bitの場合)と、従来のアナログ録音では得られなかった広大な範囲を表現できます。実際に「DATの音はCDよりも良い」という評価が広まり、特にクラシック音楽やジャズなど繊細な音のジャンルでそのクリアな音質が支持されました。DAT登場以前、家庭でデジタル音源を録音する手段は事実上存在せず(オープンリールでPCMプロセッサー+VHSデッキを使う特殊な方法はありましたが一般的ではありませんでした)、DATは初めて手軽に高音質録音ができる媒体となったのです。非圧縮で録音できるため、演奏や音源のニュアンスを余すところなく捉えられる点もプロからアマチュアまで評価されました。
もっとも、DATの音質は録音条件や機材にも依存します。サンプリング周波数やビット深度は固定ですが、テープの走行安定性やヘッドのコンディションによってエラー発生率が変わり、エラー訂正が入ると理論スペック通りの音質が得られないこともあります。しかし通常使用においては、ノイズフロアの低さ(無音部分の静けさ)や音の透明感は従来フォーマットを凌駕し、多くのリスナーを驚かせました。DAT全盛期にはオーディオ専門誌で市販CDとDAT録音を聴き比べる企画なども組まれ、「微妙なニュアンスまで録れたDATの勝利」などと評されることもあったほどです。こうした高音質ゆえに、DATはマスターレコーダー(音源制作の最終録音機)としての地位を確立していきました。
プロフェッショナル用途(スタジオ録音、放送業界)
DATテープはプロの現場で広く活用されました。レコーディングスタジオでは、ミキシング後のマスターテープをDATで記録する手法が1990年代に一般的となりました。従来はオープンリールのアナログテープやU規格デジタルビデオテープにPCM音声を記録する方法が用いられていましたが、DATの登場により小型で扱いやすい専用機材に置き換わっていきます。CDプレス工場に送り出す最終2chマスターをDATで制作するケースも多く、実際に商用CDの中にはマスターがDATで録られたものも少なくありません。放送業界でもDATは重宝されました。FMラジオ局では番組素材やCM音源の保存にDATが用いられ、ノンリニア編集機が普及する前の時代には放送用音源の受け渡しメディアとして標準的存在でした。テレビ音声や映画館のサラウンド試写用にDATを使うこともあり、デジタル音声が必要とされる様々な場面でDATが活躍したのです。
実際、DATテープはフィールド(屋外)録音やスタジオ録音、放送局でのアーカイブにまで幅広く使用されてきました。ニュース取材や自然音の収録でもポータブルDATの高音質が評価され、一部の報道機関や映画制作現場でも採用された例があります。
プロ用途で使用されたDAT機器としては、ソニーの業務用シリーズ(PCM-7040など)や、先述のティアックTASCAMシリーズ、パナソニックのSVシリーズなどが有名です。これらは堅牢性や時間コード記録機能、ラックマウント形状など業務に適した設計になっており、放送局や録音スタジオに設置されていました。なお、DAT規格自体にはタイムコード記録の標準がありませんでしたが(必要に応じてサブコード領域に独自実装)、プロ機材では音声と別に記録機器側でタイムコード管理する運用がなされていました。長時間のセッション録音でも安定して動作する信頼性から、DATはプロの現場で定番のデジタル録音機となったのです。
一般ユーザー向けの利用(ホームオーディオ、ライブ録音)
DATはプロだけでなく一般のオーディオ愛好家にも使われました。特にホームオーディオ分野では、「お気に入りのレコードやCDをDATに録音して高音質のまま保存する」という使い方がなされました。当時、高級カセットデッキでメタルテープに録音する愛好家は多くいましたが、DATを手に入れたユーザーはその音質に驚き、アナログテープには戻れないと感じる人もいたようです。自宅でFM放送のエアチェック(番組録音)をDATで行うことも流行し、雑誌では「DATでエアチェック、CD並みの音質で永久保存」といった特集も見られました。価格が高かったため普及台数自体は限られましたが、それでも「デジタル時代の究極の録音ツール」として一部のマニアに受け入れられたのです。
また、ライブ録音用途でもDATは大活躍しました。ポータブルDATレコーダー(いわゆるDATウォークマン)は電池駆動で持ち運べ、高音質でコンサートやライブの生録音ができる機材として一世を風靡しました。例えばバンドのライブ会場でオーディエンスが密かにDATで録音を行い、後で仲間内でテープ交換するというブートレグ文化も90年代に存在しました。もちろん公式には許可されない行為ですが、それほどまでにDATの音は臨場感豊かに記録できたという証拠でもあります。ミュージシャンの中には、自分たちの演奏を客席でDAT録音してチェックするといった使い方をする人もいました。家庭用カムコーダーで映像を録り、音声だけDATで収録して後で合成するといったマニアックな録画手法も一部で試みられています。要するに、DATは「持ち運べるスタジオクオリティ録音機」として一般ユーザーにも創造的な利用をされていたのです。
DATテープの衰退と現状
CD・MP3・ハードディスク録音の台頭
1990年代後半から2000年代にかけて、DATテープは徐々にその存在感を失っていきました。最大の要因は、代替となる新しいデジタル録音媒体・方式の台頭です。まず、CD-RやCD-RWなどの記録型CDが登場し、パソコンや専用レコーダーで手軽にデジタル音源をディスク化できるようになりました。これにより「CD並みの音質を保存したい」というニーズはDATからCD-Rへと移っていきます。同時期に登場したMD(ミニディスク)も、音質面では圧縮があるとはいえ手軽なデジタル録音メディアとして若年層を中心に普及しました。さらに2000年代に入るとMP3など圧縮音声ファイルとハードディスク録音の時代が到来します。パソコンで直接WAV録音したり、外付けのオーディオインターフェイスを用いて高音質デジタル録音を行うことが一般化しました。2000年代後半にはフラッシュメモリを用いた小型のリニアPCMレコーダー(例:ソニーのPCMDシリーズやZOOMのハンディレコーダ)が登場し、メディア不要・メンテナンスフリーで高音質録音が可能になります。このようにより便利で安価なデジタル録音手段が次々と現れたことで、DATテープは次第に選択肢から外れていきました。
DATレコーダーの生産終了と影響
新しい録音媒体に押される形で、DAT機器の生産も縮小していきます。ソニーは2005年11月に民生用DATデッキの生産終了を発表し、在庫も2006年には底を突きました。これにより日本国内の民生用DAT機は市場から姿を消し、販売店からも新品が消滅します。その後もしばらくは業務用モデル(TASCAMや国内放送機器メーカー向けOEM品など)が細々と生産されていましたが、2000年代末までにはそうした業務用DAT機も全て製造終了となりました。メディアであるDATテープ自体も生産終了の波が押し寄せます。ソニーは2015年に最後まで残っていた音楽用DATテープの製造を終了し、日立マクセルも2016年6月末で生産を終了しました。在庫流通も2017年頃まででほぼ終了し、2025年現在では新品のDATテープやDAT機器を入手することは極めて困難となっています。この状況はDATユーザーにとって深刻で、手持ちの機器を修理しながら使い続けるか、中古市場で機器・メディアを確保するしかありません。実際、新品のDATデッキが買えなくなった後は、中古のプロ用DATマシンを求める動きもありました。しかしメカ部品の供給も細り、年々メンテナンスは難しくなっています。DATユーザーはまさに「機材をいたわりながら使う」フェーズに突入したと言えるでしょう。
現在のDATテープ市場(中古市場の状況)
現在ではDATテープおよびDAT機器は完全に中古市場のアイテムとなっています。ハードオフやセカンドハンドのオーディオショップ、ネットオークションやフリマアプリ(ヤフオク、メルカリ等)で売買されているのが実情です。新品が手に入らないため中古価格が高騰している…というほどではありませんが、それでも良品のDATデッキには一定の需要があり、動作品は高値で取引されることがあります。特に業務用やポータブルDAT機など希少モデルは、オークションで想定以上の価格が付くこともしばしばです。DATテープについても同様で、未使用未開封のブランクテープ(録音用空テープ)はコレクターや録音マニアにとって貴重品となっています。もっとも、テープ媒体は経年劣化が避けられないため、中古の使いかけテープは基本的にメディアとしての価値は低く、どちらかと言えば中身の音源に価値がある場合のみ取引の対象になります。かつて録音されたコンサートの貴重音源や、アーティストのデモテープなどがDATで残されている場合、それが発掘されてデジタルアーカイブ化される、といった形で日の目を見ることもあります。このように、現在のDATテープ市場は「メディアそのものの価値」と「記録された内容の価値」という二面性を持ちながら、細々と続いている状況です。
DATテープの買取市場について
DATテープを手放す場合、どのような買取ニーズがあり、どれくらいの価格で取引されているのでしょうか。ここでは「DATテープ 買取」をテーマに、市場動向や高く売るポイント、買取業者の選び方、売却時の注意点を詳しく解説します。
買取価格の相場
DATテープの買取価格は状態や種類によって大きく異なります。一般的に高値が付くのは未使用・未開封のブランク(録音用空)DATテープです。メーカー純正のパッケージに入った未開封品は、1本あたり数百円程度で買い取られることもあり、まとまった数があれば高値が付くこともあります。プロフェッショナル向けの高品質テープ(ソニーのPDPシリーズなど)は希少価値もあり、未開封なら高額査定となっています。以下に買取価格の目安をまとめます。
種別・状態 | 買取価格の目安(1本あたり) | 備考 |
---|---|---|
未使用・未開封のDATブランクテープ | 数百円(50~300円程度) | 長時間テープやプロ用は高価 |
中古・使用済みのDATブランクテープ | 数十円以下(10~50円程度) | 基本的に動作保証なし |
市販の音楽用プリ録音DAT(レア品) | 数百円~数千円 | 内容・タイトルによる |
市販の音楽用DAT(いわゆるDATミュージックテープ)はコレクターズアイテムとなっており、希少タイトルならオークションで1本数万円の値が付く例もあります。
高く売れる条件(未使用品、保存状態の良さ)
DATテープを少しでも高く売るためには、状態の良さが何より重要です。未使用・未開封であることは大前提ですが、たとえ開封済みでも保存状態が良好なら多少のプラス査定が期待できます。具体的には、ケースや巻き取りリールに汚れやカビがないこと、テープが伸びたり絡んだりしていないことが挙げられます。長年保管していたDATテープを売る場合は、ホコリを落として見た目を整えておくと印象が良くなるでしょう。また保管環境も品質に影響します。高温多湿な場所に置かれていたテープは磁性体の劣化やカビ発生のリスクが高く、査定額が下がるか買取不可になることもあります。反対に、冷暗所で保管され定期的に巻き戻し動作をしていたようなテープは劣化が少なく、高評価を得られる可能性があります。
もう一つ、高く売れる条件として需要の高さがあります。DAT自体がニッチな存在とはいえ、先述のように一部コレクターや業界ユーザーから根強い需要があります。特に「未開封で残っている最後のDATテープ」という希少性は年々増しています。適切なタイミングで需要のある場所に売ることも検討すると良いでしょう。いずれにせよ、テープの状態と市場の需要が価格を大きく左右する点を念頭に置きましょう。
買取業者の選び方(専門店 vs 一般のリサイクルショップ)
DATテープや機器を売却する際、どこに買い取ってもらうかも重要です。選択肢としては、大きく分けて専門の買取業者に依頼する方法と、ハードオフ等の一般的なリサイクルショップに持ち込む方法、そしてネットオークションやフリマサイトで直接売却する方法があります。
専門の買取業者は、DATの価値を理解しているため適正な査定を期待できます。例えばオーディオ専門の中古ショップや、カセットテープやDATなどレトロメディアを扱う業者では、「未開封DATテープ強化買取」などのキャンペーンを行っていることもあります。専門店では動作品のDATデッキや未開封テープにしっかりと値段を付けてくれる一方、需要のない使用済みテープは断られる場合もあります。また専門業者は宅配買取に対応していることが多く、地方在住でも取引しやすい利点があります。
一方、ハードオフなど一般的なリサイクルショップでは、DATの特殊性ゆえに査定額が低かったり買い取ってもらえない場合があります。店員がDATをよく知らないケースもあり、テープ1本数円程度のまとめ買い扱いにされてしまうこともあります。ただし、お店によってはマニアがいて適正価格で買い取ってくれる場合もゼロではありません。
ネットオークションやフリマアプリで直接売却する方法は、手間はかかるものの最も高値を狙いやすい方法です。例えば希少な音楽用DATが手元にある場合、オークションに出品すれば世界中の愛好家が対象になります。ただし、個人売買には発送や支払いのトラブルリスクも伴いますし、確実に売れる保証もありません。また、まとめて大量に処分したい場合にはかえって不向きです。少数のレアアイテムはネット、まとまった数のテープは専門店といった具合に、売りたいものの種類や量によって使い分けるとよいでしょう。
売却時の注意点(保存方法)
DATテープを売却する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。
梱包・発送には注意が必要です。特にテープ媒体は高温や磁気に弱いため、発送時には緩衝材で保護しつつ直射日光や高温を避ける工夫をします。カセットの蓋が開かないようテープで留めたり、まとめて縛らず一つ一つプチプチで包むなど、輸送中の事故防止に努めましょう。また動作確認できる機材があるなら、事前にテープの巻き取りが正常かどうか確認すると親切です。長年放置しているとテープが巻きついたり粘着していることもあり、その場合は無理に再生するとデッキを壊す恐れもあります。動作未確認の場合はその旨を伝え、「ジャンク扱い」として出すことになります。
最後に売却後のフォローも意識しましょう。専門店に買い取ってもらう場合は特に問題ありませんが、個人間売買では「届いたらテープがカビだらけだった」などクレームになるケースもあります。事前に状態を誠実に説明し、写真を示すなど透明性を確保して取引することが大事です。DATテープは扱いが難しい媒体ゆえ、売る側もある程度の配慮が求められます。
まとめ
デジタルオーディオテープ、DATテープはその高音質と先進性から音楽マニアやプロの間で支持された録音メディアでした。誕生から約40年を経て、新品機材やテープの入手が困難となった現在でも、当時録音された貴重な音源の保管やコレクターズアイテムとして価値を保ち続けています。確かに利便性の面では最新のデジタル録音機器に敵いませんが、物理メディアとしての存在感や往年の録音文化の象徴としてDATテープを愛するファンも存在します。中古市場では未だにDATテープの売買が行われており、未使用テープや希少な音源は高値で取引されることもあります。
今後、DATテープ自体の生産復活は望めないものの、アナログレコードやカセットテープが再評価されたように、DATも音楽史の一コマとして語り継がれていくでしょう。特に録音マニアにとってDATで残した音源はかけがえのない財産であり、それを引き継ぎ保存しようという動きも見られます。幸い、当時のDATデッキを修理・維持する技術者も一部に存在し、アーカイブ目的でDATを活用するプロジェクトも報告されています。こうした取り組みが続く限り、DATテープの価値は単なる過去の遺物に留まらず、オーディオ文化の遺産として輝き続けることでしょう。音楽愛好家にとってDATテープは、デジタル録音草創期のロマンを今に伝える存在であり、そのコレクター市場は小規模ながら今後も確実に残っていくと考えられます。
参考サイト:
- DAT (Digital Audio Tape) – Wikipedia
- ソニー公式:DATウォークマンの歴史
- ティアック(TASCAM)公式サイト:DATレコーダー
- アーカイブ機材の歴史(NHK放送技術研究所)
- 音楽雑誌アーカイブ:DAT特集(Stereo Sound ONLINE)