【完全保存版】カセットテープ用語集 2025年3月ver
あ行
アジマス(Azimuth)
カセットデッキのヘッドとテープが接触する角度を指す用語。角度が正しく合っていないと高音域の再生が弱くなったり左右の定位が不正確になったりする。より良い音質を得るために、ヘッドアジマスの調整がとても重要。
インデックスシール(Index Label)
カセットテープのハーフ(プラスチックケース)の外側に貼り付けるラベル。録音した曲名や内容、録音日などを書き込むことで、複数のテープを管理しやすくする。テープに直接書き込むより整理がしやすい。
ウォークマン(Walkman) / ポータブルプレーヤー
ソニーが「ウォークマン」の名で発売した携帯型カセットプレーヤーが代表的。ヘッドホンを使って外出先でも音楽を聴けることから、一気に普及した。現在ではレトロなアイテムとして再注目されることも多い。
A面 / B面(エーめん / ビーめん)
カセットテープの表裏の区別を示す呼称。ラベル面がA面、反対側がB面と呼ばれることが一般的。アルバムなどではA面に主力曲、B面にカップリング曲やインストゥルメンタルなどを入れるケースが多かった。
オートリバース(Auto Reverse)
テープが片面の終端に達したとき、ヘッドの向きを自動で切り替えて裏面を続けて再生・録音できる機能。いちいちテープを裏返す手間が省け、長時間の連続再生や録音が可能になる。
か行
カセットテープ(Cassette Tape)
フィリップス社が開発した「コンパクトカセット」規格をもとにした音声記録メディア。プラスチック製のハーフに磁気テープが収められており、小型で持ち運びやすく家庭用からプロユースまで幅広く利用された。
カセットデッキ(Cassette Deck)
据え置き型の再生・録音機器。アンプやスピーカーと組み合わせて使用することが多い。音質や操作性を追求した高級モデルも多数存在し、ヘッドの材質やメカニズムによって録音・再生性能が左右される。
キャプスタン(Capstan)
テープを一定速度で送り出すために回転する金属製の軸。ピンチローラー(ゴムローラー)と接触してテープを挟みこむことで、速度や走行を安定させる役割を担う。経年劣化や汚れでテープスピードが不安定になる場合もある。
コンパクトカセット(Compact Cassette)
カセットテープの正式名称。1960年代にフィリップスが開発し、世界的に統一規格として普及した。小型で手軽、かつ手動でテープを取り出さなくても扱えるため、一気に家庭録音のスタンダードメディアとなった。
さ行
サウンドピッチコントロール(Pitch Control)
テープ再生時の速度を微調整し、音程やテンポを上下させる機能。楽器の練習で音程を合わせたい場合や、カラオケのキーを変える目的などで使われることが多い。テープ速度が変わると音質にも影響を与えるので注意が必要。
し行
消去ヘッド(Erase Head)
録音時に既存の音声信号を消去するためのヘッド。強い交流磁界を与えることでテープ上の磁性をリセットし、新たな音声を正しく録音できるようにする。消去能力が低下すると、以前の録音がうっすら残る「残留音」が発生することがある。
た行
テープスピード(Tape Speed)
カセットテープの場合、標準は1と7/8インチ毎秒(約4.76cm/秒)。スピードが変動すると音程ズレや音質の劣化が起こる。小型のためオープンリールより遅い速度だが、その分省スペースで取り扱いやすい。
テープカウンター / メカニカルカウンター(Tape Counter)
テープの巻き取り量を簡易的に数字で表示する装置。再生位置の目安として使い、曲の頭出しや録音位置の確認に役立つ。メカ式とデジタル式があり、カウンター数値と再生時間が必ずしも正確に一致するわけではない。
テープレングス(Tape Length)
C60、C90、C120などと表記され、録音可能な総時間を分数で示したもの。C60なら片面30分、C90なら片面45分といった具合。長すぎるテープは薄く切れやすいデメリットがあるため、音質面も含めバランス選択が大切。
トルクリミッター(Torque Limiter)
巻き取りリールの回転トルクを一定に保つメカニズム。強すぎるとテープが切れたり走行が乱れたりするため、適正なトルクをかけてテープをスムーズに送り込む。巻き取り不良やテープの絡まりを防ぐ要ともなる。
ドルビーB / ドルビーC / ドルビーS(Dolby NR)
テープ録音特有のヒスノイズを低減する技術の総称。特にドルビーBは普及率が高く、CやSはさらにノイズ軽減効果を高めている。再生側でも同じドルビー方式で処理しないと正しい音質が得られないので注意が必要。
ドルビーHX Pro
録音時の高域信号に対するバイアス量をリアルタイムで制御し、音の歪みを抑える技術。テープの持つダイナミックレンジを最大限に活かし、高い周波数帯域の表現力を高める効果がある。
ドロップアウト(Dropout)
テープの一部が傷んだり、磁性体が剥離したりすることで、録音・再生時に瞬間的に音が途切れたりレベルが下がったりする現象。古いテープや保管状態の悪いテープで起こりやすい。
な行
ノーマルポジション(Type I)
一般的な酸化鉄(フェリック)を用いたテープで、最も普及しているタイプ。比較的安価で扱いやすく、バイアスやイコライザーの設定も標準仕様が多い。初心者や日常的な録音用途には充分な音質を提供する。
ノイズリダクション(Noise Reduction)
テープのヒスノイズを低減するための技術や方式の総称。ドルビー以外にもdbxなど複数の方式が存在する。録音再生環境や好みに応じて使い分けることで、アナログながらもクリアな音質を目指せる。
は行
ハイポジ(Type II)
クロム酸化物やフェリクロム系を用いたテープで、ノーマルポジションより高域特性が優れ、ノイズも少ない。ロックやポップスなどの音楽録音で使われることが多く、中級者以上に好まれた。
ハイスピードダビング(High-Speed Dubbing)
通常の再生速度よりも速い速度でテープを複製する機能。短時間で大量のダビングが可能になる反面、倍速録音による高域の劣化やわずかな音質低下が生じやすい。音質重視の場合は等倍ダビングが推奨される。
ば行
バイアス(Bias)
録音時にテープへ加える高周波の交流電流。これによりテープの磁化特性が改善され、歪みやノイズが減少して音質が向上する。テープの種類に合わせた適正バイアスが必要で、ズレがあると録音品質が大きく左右される。
バイアス調整(Bias Adjustment)
デッキやテープの種類に応じて、最適なバイアス量を設定する作業。高域の伸びや低域のパワー感を好みに合わせられるため、オーディオマニアは細かく調整することが多い。正確な調整には専用の機器やテストテープが用いられる。
ぴ行
ピンチローラー(Pinch Roller)
ゴム製のローラーでキャプスタンと協力してテープを一定速度で送り出す。素材の劣化や汚れでテープ走行が乱れると、ワウ・フラッター(音の揺れ)が発生したりテープが傷む原因になる。定期的な清掃と交換が推奨される。
ふ行
フルロジックコントロール(Full Logic Control)
電子制御によってデッキのメカを動作させる方式。ボタン操作が軽く、複数の操作コマンドを正確かつ素早く実行できるメリットがある。メカニカルコントロールより複雑だが、高級機を中心に採用が進んだ。
ぷ行
プリエコー(Pre-Echo)
磁気テープの巻き具合や帯磁状況により、音声が本来の再生箇所よりわずかに先行してうっすら聞こえる現象。アナログの特有現象のひとつであり、厳密なマスタリングでは注意すべき点とされる。
へ行
ヘッドアジマス調整(Head Azimuth Adjustment)
再生・録音ヘッドの角度を微調整し、テープとの接触を最適化する作業。アジマスが狂うと高音域の再生が不十分になったり左右の位相が崩れる。専用のテストテープや観測機器を使って正確に合わせると音質が明らかに向上する。
ヘッドクリーニング(Head Cleaning)
録音・再生ヘッドやピンチローラーなどに付着した磁性粉やホコリを除去するメンテナンス。クリーニング液や無水エタノールを綿棒につけて丁寧に拭き取るのが一般的。定期的に行うことで音質低下やトラブルを防ぐ。
ま行
メカトラブル(Mechanical Trouble)
カセットデッキ内部のベルト切れやローラーの摩耗、部品の経年劣化などによる故障。テープが絡まったり、回転数が不安定になったりする原因。修理にはパーツ交換や専門的な調整が必要になる場合が多い。
メタルポジ(Type IV)
金属粒子を採用したテープで、最も高音質が期待できるタイプ。高域再生能力が優秀で歪みも少ないが、価格が高め。対応デッキで使用するとクリアかつダイナミックな録音が可能となる。
ら行
リーダーテープ(Leader Tape)
録音不可の透明部分のテープで、カセットの冒頭や末端に取り付けられる。録音開始時の誤作動やテープ切れを防止し、デッキ内部のヘッドやローラーに直接トラブルが起きないようにする役割がある。
録再ヘッド(Rec/Play Head)
録音と再生を兼用するヘッド。磁気テープに信号を記録すると同時に、再生時には信号を読み取る。デッキの性能を左右する重要部品で、材質や形状によって音質や耐久性が大きく変わる。